2024年4月よりはじまる「運送業働き方改革」まで、残り半年となりました。
荷主さんへの待機時間削減に対する取り組みなども進んでおります。
ですが、この問題は急に始まったわけではありません。
今現在、すでにあるルールが2024年4月1日から少し厳しくなるだけです。
いままで騒がれなかったほうが不思議なくらい・・・。
ということで、現在のルールをきちんと理解することがとても大切になります。
現時点でもドライバーさんは無制限にお仕事ができるわけではなく、
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準=改善基準告示」により、
様々な時間管理についてのルールが定められております。
先月にひきつづき7つ目の話題
「ドライバーさんの一日について」
前回まではドライバーさんの時間について、いろんな用語を解説してまいりました。
今月は「ドライバーさんの一日はどのように考えるか?」です。
まず大切なのは、ドライバーさんの一日は、午前0時からではなく始業から24時間でカウントする!ということ。
労働法において労働者の一日は原則0時に始まり24時で終わります。
しかし、改善基準告示においてドライバーさんの一日は、始業から24時間を一日としました。
???と思われた方が多いと思いますので具体例を確認してみましょう。
例えば、10/1日曜日に休日を取ったドライバーさんの一日は、10/2月曜日の始業時刻(仮に午前5時とします)より始まります。
10/2月曜日朝5時~10/3火曜日朝5時までが、このドライバーさんの一日です。
したがって、ドライバーさんの一日の拘束時間(最大16時間)・休憩時間(労働が6時間を超えるときは45分以上、8時間を超えるときは1時間以上)・労働時間・休息期間(8時間以上)などを確認するときは、10/2月曜日朝5時~10/3朝午前5時までの間を確認してください。
では10/2月曜日朝5時から始業したドライバーさんが、10/3火曜日は物量が多いので、朝3時から始業(早出)した場合はいかがでしょう?
10/2月曜日は10/3火曜日の朝5時までの24時間が一日のため、まだ月曜日が終わっていないのに火曜日がスタートしてしまっています。
そうすると、火曜日に早出した午前3時~午前5時までの2時間は、月曜日の拘束時間と火曜日の拘束時間の両方にカウントされてしまいます。
これがダブルカウントです。
運行管理試験でもたびたび出題される厄介なルールです。
このダブルカウントで注意しなければならないのは次のような場合です。
10/2月曜日朝5時に営業所をスタートしたドライバーさんは、道路が混んでいてなかなか配達が終わらず、営業所へ戻れたのは、夜21時になってしまいました。
この日の拘束時間は21時-5時=16時間 ギリギリセーフです。
そして火曜日は荷物が多いので朝3時に出発しました。
すると早出した2時間は月曜日の拘束時間にもダブルでカウントされますので、
月曜日の拘束時間は16時間+2時間=18時間! 当然に拘束時間違反となります。
さらによくよく確認すると月曜日の休息時間は、月曜日の夜21時~火曜日の朝3時までなので6時間! 8時間を下回っており休息時間違反も発生しています。
せっかく早出して頑張ったのに、このドライバーさんは違反が2つも発生してしまいました。
もう一つ注意が必要なのは、「15時間を超える拘束時間は週2回まで」というルールがありましたね。
拘束時間は16時間ギリギリだから大丈夫!などと考えていると、15時間越えの拘束時間が週3回となり違反!なんてことにならないようにご注意ください。
では、ダブルカウントによる違反を発生させないために必要なことは何でしょう?
①ドライバーさんの次の日の始業時刻を運行管理者がしっかり指示すること。
②一日の仕事が終わってから次の日の仕事をスタートするまでに、必ず8時間以上の休息時間を確保すること。
この二つがとても重要です。
具体例のように荷量が多く早めに積み込みを始めなくてはいけないならば、他のドライバーに積み込みだけお願いするなど柔軟なシフトを組む必要があります。
ドライバーさんの心理としては、遅れないために早く出発して積み地で一休みしてから積み込みを始めたいものです。
しかし時間管理が厳しくなる2024年4月まであと半年しかありません。
1日30分の早出が1カ月では12時間以上の拘束時間を消費してしまいます。
月初から早出を繰り返したドライバーさんが25日を過ぎたら月間の拘束時間の上限293時間を使い切ってしまい、翌月までお仕事ができないなんてことにならないようにしっかりと始業時刻を管理してあげてください。
ドライバーさんの時間管理は運送会社のコンプライアンス面でとても重要です。
デジタコのある運送会社さんはまだまだ少なく、正確な記録を残す社内体制を2024年4月に向けて、早期に構築されることを強くお勧めいたします。
安心・安全・高収益な運送事業実現のために!
来月は「ドライバーさんの運転時間について」です。
お楽しみに。
2023年10月2日
© 行政書士武藤事務所