いよいよ来月より「運送業働き方改革」かスタ-トいたします。
準備は万全ですか?
大切なことは、まず現在のルールをきちんと理解することです。
現時点でもドライバーさんは無制限にお仕事ができるわけではなく、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準=改善基準告示」により、様々な時間管理についてのルールが定められております。
それでは、最後の話題
「特例:一の運行は144時間について」です。
一の運行とは所属営業所を出発してから所属営業所へ帰庫するまでのことです。
簡潔に表現すれば
「行ってきま~す!」から「ただいま~!」迄です。
この間が144時間。
一日は24時間なので、144÷24=6日。
具体的には、月曜日の朝6時に出庫したドライバーさんは日曜日の朝6時までに帰庫すればOK!というルールです。
では、どのような場合に使うか?
すぐに思い当たるのは日本全国を巡る長距離運送です。
月曜日に神奈川を出庫して大阪へ
火曜日に大阪➡福岡へ
水曜日に福岡➡鹿児島へ
木曜日に鹿児島➡山口へ
金曜日に山口➡大阪へ
土曜日に大阪➡神奈川へ
日曜日はお休み・・・。
いくつか注意していただきたいことがあります。
以前にお話しした通り、運転時間は2日平均9時間、2週間平均44時間の限界があります。
大型車の制限速度も変更となるようですが、時速10Km増えた分遠くまで走れると考えるのは危険です。
80Km/hと90Km/hでは疲労感も違います。
カーブの遠心力やブレーキの制動距離も・・・。
拘束時間にも注意が必要です。
一日の走行距離は9時間×80Km/h×0.8くらいで計画しましょう。
拘束時間は一日16時間が限界、15時間越えは週2回まで。
ダブルカウントにも要注意です。
「なんだか今日は眠れないから、道路が空いているうちに、もうちょっと走っちゃおう!」
なんて、点呼も受けずに出発することが無いように。
点呼の多くが「電話」となりますので、中間点呼が必要となります。
当然に運行指示書を事前に作成して正本はドライバーが携帯。
アルコール検知器を車内に準備していざ出発。
いままでお話してきたルールの応用編ですね。
フェリー乗船のなどルールを駆使すると自由度がさらに広がります。
ドライバーさん曰く、大型車で高速長距離運行は楽しいと聞きます。
地場で積んだり卸したりを繰り返す毎日より、日本全国を小旅行気分で各地のおいしいものが食べられます。
標準的な運賃をいただけるなら喜んで長距離運行できます。
では今なぜ長距離運行から撤退する会社が多いのでしょうか?
理由は運賃が安すぎる!からですね。
一日10万円×6日=60万円➡一か月240万円➡売り上げの30%をドライバーに還元すれば月72万円➡年収800万円も可能に。
これならドライバー採用も難しくないのではないでしょうか?
3月末までには8%値上がりした標準的な運賃が発表されることでしょう。
3年前は「標準的な運賃なんて、こんな金額がもらえたら万々歳だよ!」
なんて言っていた会社さんがほとんどでした。
ところが今はどうでしょう?
皆さん積極的に運賃交渉に臨んで、標準的な運賃を頂いている会社さんもチラホラお見受けします。
時代は変わります。変わらないのはもったいない。
これからも継続的に運賃交渉を行い、安心・安全・高収益な運送事業を実現させましょう!
ここまでで現在のルールである改善基準告示のご説明を完了いたしました。
来月からは4/1以降に適用となる「新・改善基準告示」について解説をしていきます。
お楽しみに。
2024年3月2日
© 行政書士武藤事務所