先月に引き続き「改正改善基準告示を守れていますか?」を一緒に考えてまいりましょう。
と、その前に2024年度の時間外労働時間上限960時間は守れましたでしょうか?
2024年4月1日以降始期の36協定を締結している運送会社さんは、2025年3月31日以降をもって1年間が終わりましたので、ドライバーさんごとに1年間の時間外労働時間を集計しましょう。
万が一にも年間の残業時間が960時間を超えてしまったドライバーさんが存在する場合は、御社の社労士さんとよくよく相談して早急に今後の対策を打たなければなりません!
さらに激動の2025年度は年度初めにしておかなければいけないことが沢山あります。
標準運送約款が新しくなりました。
運輸安全マネージメントを作りましょう。
2025年度の乗務員教育を始めましょう。
実運送体制管理簿を作りましょう。
運送契約書面を作りましょう。
業務記録をつけましょう。 などなど
では本題に戻り「運転時間」について。
①1日の運転時間は2日を平均して1日9時間以内です
これは9時間のカウントの仕方に注意が必要です。
例えば月曜日から1週間が始まるドライバーさん。
月曜日の運転時間は、8時間でした。
火曜日は渋滞が多く10時間でした。
2日間の運転時間を平均すると9時間ですので問題はありません。
では水曜日は事故渋滞もあり10時間運転しました。
火曜日と水曜日の運転時間を平均すると10時間となります。
はたしてこの2日間の運転時間は違反でしょうか?
いえ、
木曜日の運転時間が8時間以内であれば大丈夫です!
運転時間のルールは、ある日に着目した時に、その前後の日の運転時間を平均し、どちらかが9時間以内になっていれば違反となりません。
では木曜日の運転時間が8時間ならば、金曜日は何時間まで運転できますか?
そうです。
10時間まで運転可能です。
さらに具体的に考えてみると、
地場の運行が専門のドライバーさんは、高速道路と一般道を併用して移動速度は平均25Km/hと想定します。
運転できるのは2日平均8時間なので、1日の移動可能距離は約200Kmです。
長距離ドライバーの吉田さんならいかがでしょう?
大型車の最高速度が90Km/hに変更になったとはいえ、渋滞もあるので高速道路を多用しても平均50Km/hといったところでしょうか?
ということは、1日の移動距離は400Km
茅ケ崎の営業所を出発してすぐに圏央道に乗ったとしても、たどり着けるのは大阪の手前までです。
毎日茅ケ崎~大阪間を往復すると運転時間違反となってしまう可能性があります。
最近大手の運送会社が長距離を敬遠する理由の1つなのかもしれません。
次は
②1週間の運転時間は2週間平均で1週間あたり44時間以内
確認の仕方は御社の起算日を基準として2週間ごとに運転時間を計算します。
多くの運送会社さんは1日に始まり30日や31日で1か月が終わると思われますが、例えば毎月21日からはじまり翌月の20日までが1か月でも大丈夫です。
起算日は会社さんごとに定めてかまいません。
ですが都合よくコロコロと変えていいわけではありません。
具体的に考えていきたいと思います。
1週目は1日~7日。7日はお休み。稼働日は6日間。
ここで注意が必要なのは、毎日9時間平均で運転し続けると、1週間の運転時間は54時間となります。
2週目は8日~14日。14日は休み。2週目の運転時間は34時間までとなります。
簡単に申し上げれば、「1週目にいっぱい走って疲れてるいから2週目は短めにしましょう!」ということです。事故を起こさないために・・・。
週休1日のドライバーさんは1日の運転時間を平均9時間ではなく平均7時間チョットにしておかないと違反となりますので注意が必要です。
地場なら1日180Km弱、長距離でも350Kmほどです。
理想を言えば、「長距離から戻ったら、次の日の仕事は地場にしましょう!」です。
ここまでは以前より変更がありません。
ただし、2024年4月からは「予期しえない事象」がスタートいたしました。
先月もご案内しましたが、大切なルールなのでもう一度。
予期しえない事象とは
次のいずれかの事象により生じた運行の遅延に対応するための時間であること。
① 運転中に乗務している車両が予期せず故障した。
② 運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航した。
③ 運転中に災害や事故の発生に伴い、道路が封鎖された又は道路が渋滞した。
④ 異常気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となった。
※ 当該事象は「通常予期し得ない」ものである必要があり、例えば、平常時の交通状況等から事前に発生を予測することが可能な道路渋滞等は、これに該当しません。
上記の4つに該当した場合は運転時間からも除くことが可能となりました。
ただし、客観的な記録により確認できる時間であること。が、必要なため次の①の記録に加え、②の記録により、当該事象が発生した日時等を客観的に確認できる必要があります。
①の記録のみでは「客観的な記録により確認できる時間」とは認められません。
① 運転日報上の記録
・ 対応を行った場所
・ 予期し得ない事象に係る具体的事由
・ 当該事象への対応を開始し、及び終了した時刻や所要時間数
② 予期し得ない事象の発生を特定できる客観的な資料
例えば次のような資料が考えられます。
ア 修理会社等が発行する故障車両の修理明細書等
イ フェリー運航会社等のホームページに掲載されたフェリー欠航情報の写し
ウ 公益財団法人日本道路交通情報センター等のホームページに掲載された道路交通情報の写し(渋滞の日時・原因を特定できるもの)
エ 気象庁のホームページ等に掲載された異常気象等に関する気象情報等の写し
予期し得ない事象に遭遇し、運行が遅延した場合、改善基準告示の適用となる1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間は、実際の時間から予期し得ない事象への対応時間を除いた時間になります。
1日の拘束時間と1日の運転時間に制限がありますので配車の組み方は要注意です。
昭和の配車マンはひたすら高い運賃の仕事を取ることが仕事でした。
令和の配車マンは改善基準告示の知識も必要です。
運賃が高い=良い仕事 とは限りません。
いかに短時間でいかに短距離のお仕事を、いかに効率よく組み合わせて、ドライバーさんに提供できるか?
これが令和の優秀な配車マンではないでしょうか?
次回は、「連続運転」を確認していきたいと思います。
お楽しみに。
2025年5月1日
© 行政書士武藤事務所