2023年も残すところあとひと月。
新年4月よりはじまる「運送業働き方改革」の準備は進んでいますか?
準備を進める上で大切なことは、まず現在のルールをきちんと理解することです。
現時点でもドライバーさんは無制限にお仕事ができるわけではなく、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準=改善基準告示」により、様々な時間管理についてのルールが定められております。
それでは、先月にひきつづき10個目の話題
「特例:2人乗務」です。
具体的には
そもそも2人乗務とは、1台のトラックにドライバーが2人で乗務する運行のことで、ツーマンと呼ばれています。
2人乗務では、トラックの車内に身体を伸ばして休息できる設備がある場合に限り、1日の拘束時間を20時間まで延長することができ、休息期間を4時間まで短縮することができます。
また、今回の改正では、馬匹輸送(競走馬輸送)におけるトラックの運行実態等を踏まえ、新たに、車両内設備が長さ198cm以上かつ幅80cm以上で、クッション材等により走行中の路面からの衝撃が緩和される車両内ベッドがある場合は、1日の拘束時間を24時間まで延長することができます。
ただしこの場合は運行終了後の休息期間を11時間以上与えなければなりません。
加えて、車両内ベッドにおいて8時間以上の仮眠時間が与えられる場合では、拘束時間を28時間まで延長することができます。
問題は、車両内ベッドについて、「運転席の上部に車両内ベッドが設けられている場合等、車両内ベッドにおいて安全な乗車が確保できない場合には、2人乗務において運転者が運転している間に、もう一人が使用することは認められていません。」となっています。
皆さんの多くが使用しているワイドロングの4トン車~のキャブに設置されている寝台設備を走行中に交代ドライバーが使用して休息することは認められないと読めます。
当然、助手席での休息など認められる余地も無いようです。
では、どのような設備が認められるのか?
この特例は長距離バスなどで車体の下部に寝台設備のある車両をイメージしているようです。
そんなトラックあんまりみたことがありませんが・・・。
また、万が一そのような車両を使用して長距離運行を行ったとしても、そもそも二人分の人件費まで加味した運賃をいただけるのでしょうか?
この特例を検討した時にやはり問題となるのは、運送会社さんへ支払われる運賃です。
運賃さえ適正に収受できれば2マン運行も可能かもしれません。
標準的な運賃も見直しが行われているそうです。
少しでも適正な運賃に近づくことを願っています。安心・安全・高収益な運送事業実現のために!
来月は「特例:隔日勤務について」です。
お楽しみに。
2023年12月1日
© 行政書士武藤事務所