明けましておめでとうございます。
先日、Gマークの発表がありました。
弊所のお得意さんも4社が新規で取得しました。
県内では3割を超える運送会社さんがGマークを取得しているそうです。
さらにGマーク取得から10年を超え、国土交通省から表彰状を頂いた会社さんもありました。
Gマークが当たり前になるのかもしれませんね。
皆さんおめでとうございます。
そして、2025年がスタ-トいたしました。
しばらくの間お休みしておりました、「トラサポ通信」や「お役立ち情報」も再開いたします。
なぜお休みしていたかと申しますと、
昨年4月よりスタートした「運送業働き方改革」が、運送業界にどのような影響を与えるのか?
正直想像が出来ませんでした。
代表的なものとしては、「1年間の残業が960時間まで」
昨年3月末に慌てて1170時間の36協定を提出した会社さんも見受けられました。
そんな会社さんも、もれなく4月からは規制の対象となるでしょう。
そもそもこの国は働きすぎだそうです。
でも幼いころから 働くこと=美 と教わりました。
働きすぎがいけないんでしょうね。
体も心も壊しちゃうんで・・・。
元気でいなければ、沢山お金を稼いでも使う事ができないし・・・。
このぐらいにして本題へ入りましょう。
まずは確認。
昨年4月よりドライバーさんの1年間の残業時間は960時間が上限となりました。
それと、改善基準告示が大幅に変更となりました。
ではまず「1年間の残業960時間が上限」について考えていきましょう。
この記事を読んでいただいた後、早急に御社の社労士さんとよくお話して、御社のルールを決めてください。
残業の上限960時間をザックリ考えてみましょう。
960時間/1年間ということは、12カ月で割ると1か月80時間。
1か月に御社のドライバーさんは何日働いていますか?
労働基準法では原則的に1日8時間、1週間40時間を超える部分を残業として扱います。
さらに1日1時間は休憩できていると仮定しましょう。
朝6時に出社したドライバーのAさんは、12時までの6時間お仕事をして13時までお昼休みを取ります。
午後は13時からスタートして15時までが定時。
その後、18時までの3時間残業して18時に退社いたしました。
月曜日から金曜日までの5日間で、定時が40時間、休憩が5時間、残業は15時間。
さらに2月以外は29日・30日・31日の月もありますからその日の分も忘れずに加算。
完全に週休2日のドライバーさんであれば、年末年始、ゴールデンウィーク、夏休み休暇や祝祭日もあり、上限960時間はクリヤー出来そうです。
食品の運搬をされているドライバーさんはいかがでしょう?
365!なんて呼ばれていますとおり祝祭日や長期休暇もなく、毎日私たちの生活に必要な食品を運んでくれています。
そうなると960時間を超えてしまっていませんか?
たとえ960時間に収まっていたとしても一般の労働者上限360時間/年間と比べるとなんと2倍超!
朝6時~夕方6時までお仕事。
ベテランドライバーさんは「12時間なんて短いくらいだよ!」なんて言いますが、他業種と比べると明らかに長いです。
これも求人広告に多額に費用を投じているのに応募がすごく少ない原因の一つかもしれません。
では、そもそもなんでそんなに長いんでしょうか?
いろんな会社さんのタコを毎日拝見していると、長距離専門のドライバーさんを除けば、トラックが走っている時間はそんなに長くありません。
なので、「改善基準告示:走行時間2日平均9時間以内」を超えているドライバーさんはさほど多くありません。
それに比べてタコが停まっている時間がかなり長いドライバーさんをお見受けします。
そもそも変ですよね?
荷物を運ぶ仕事なのに、タコが止まっている時間が長い?
休憩は当然です。
100歩譲って、積込・荷卸しは仕方ないのかもしれません。
でも、それだけではありませんよね?
倉庫へ到着してからの受付。
バース手前での順番待ち。
自分の荷物を探したり、仕分けしたり。
やっと順番になったと思えば、フォークリフトの順番待ち。
などなどなどなど。
この「などなどなどなど」が長時間労働の原因ではありませんか?
国や荷主さんは倉庫の効率化を進めています。
でも大きな倉庫を除けば、まだまだDXなどほど遠い倉庫を沢山お見受けいたします。
さらに安い運賃も要因の一つ。
一日1本だけで帰庫すると、残業も少なくて済みます。
でも、運賃が安いために後ろにもう1本・2本のお仕事をプラスしなければ、ドライバーさんが希望するお給料を支払えない!という会社を見かけます。
ここに関しても、国は標準的な運賃を約8%値上げしました。
そういえば、最近「標準的な運賃」が「標準的運賃」になっているのをご存じでした?
将来的には標準運賃になるのでしょうか?
話を戻しましょう。
1本当たりの運賃が安価なため、ドライバーさんは毎日残業して荷物を運ばなければいけません。
さらに土曜日もお仕事をすることになります。
ひどいときは、日曜日も・・・。
そして、年間残業上限960時間を考えるときに、この土曜日がとても曲者です。
土曜日も平日と同じようにお仕事をすると、
12時間-休憩1時間=11時間残業
1カ月に4回、土曜日に出勤するとまるまる44時間残業が増えます。
月曜日~金曜日の1か月残業時間60~69時間を加えると1か月104~109時間!
1年間続くと1200時間を超える残業となってしまいます。
そうです。
昨年4月から1か月100時間づつ残業をしてきたドライバーさんは、先月で900時間を超えてしまっているんです。
御社のドライバーさん今月~3月まで、残業ができません!になっていませんか?
すでに960時間を超えたドライバーさんは3月まで、朝6時~15時しかお仕事は出来ません。
当然に運べる荷物は減りますね。
運賃も減ります。
経営は苦しくなりドライバーさんのお給料も減るかもしれません。
悪循環になってしまいます。
とあるシンクタンクの予測では30%の荷物が届かなくなる!
なんて強烈な数字が発表されていました。
でもすぐにはこんなことにはならないでしょう。
なぜなら皆さんの周りにも
残業?
改善基準告示?
ウチのドライバーは歩合制だから関係ないね!
なんて会社ありますよね?
本当に関係ないんでしょうか?
なぜ残業時間の上限が960時間になったのか?
ドライバーさんの体や心が壊れてしまわないようにです。
心臓や脳に関する病気の労災件数もダントツの業種ですから。
関係ないね!
なんて言っている会社さんからは、いつの日かドライバーさんが離れてしまうんではないでしょうか?
同じ給料なら時間が短い方がいいですものね。
そうでなくてもドライバーさんが足りないのに・・・。
せっかく慣れてきたドライバーさんが退職してしまって、運よく求人に応募があっても、また一から教育しなくてはいけません。
効率悪くないですか?
こんな事にならないように、1年間の残業時間960時間は守らなければなりません。
なんならもっともっと時間を短く沢山稼げるように、会社が変わらなければならないんです。
大変です。
でも、今この大変なことから逃げてしまうと、後々もっと大変なことが待ち受けています。
社長!
いまが変わるラストチャンスです。
ぜひ運送業に詳しい社労士さんと相談してみてください。
次回は、どのように労働時間を短くしていけばよいか?を一緒に考えてみたいと思います。
お楽しみに。
2025年1月1日
© 行政書士武藤事務所