お役立ち情報

運送業2024問題についての考察

最近では、2024年4月より始まる「運送業2024年問題」に関して、メディアで頻繁に報道されるようになりました。

世間の関心も日に日に高まってきています。

荷主さんへの待機時間削減に対する取り組みなども行われております。

ですが、この問題は急に始まったわけではありません。

今、現在もすでにあるルールが2024年4月1日から少し厳しくなるだけです。

いままで騒がれなかったほうが不思議なくらい・・・。

ということで、現在のルールをきちんと理解することがとても大切になります。

現時点でもドライバーさんは無制限にお仕事ができるわけではなく、

「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準=改善基準告示

により、様々な時間管理についてのルールが定められております。

それでは現在の改善基準告示についてひとつずつ確認してまいりましょう。

先月にひきつづき今月は5つ目の話題

「ドライバーさんに関する時間についてPART3」

ドライバーさんの時間についてはいろんな用語があります。

その中でも大切なのは「拘束時間・労働時間・休憩時間・休息期間」の4つです。

今月は3つ目の「休憩時間」について。

休憩時間とは、拘束時間-労働時間で求めることができます。

ちなみに労働基準法第34条には以下のようにあります。

①使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

②前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

③使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない

そもそも休憩時間とは労働から離れることを保障されている時間なので、

1.いつ就労の要求があるかもしれない状態(=待機など)は労働から離れることが保障されていないため休憩時間にはあたりません。

2.労働時間の途中で与えなければいけません。

「早めに出勤したからまず休憩ね」とか「今日は忙しくて休憩が取れなかったから休憩後、仕事あがってください」などは認められません。

3.上記の②は運送業には適用されませんのでご心配いりません。

4.休憩中だからといって何をしてもいいわけではありません。企業秩序維持を乱すような行為は慎まなければなりません。

運行管理者が開始の点呼時に「今日は○○で〇時間休憩してください」と指示を出すのが理想的です。

実際の現場では仕事の進捗度合いに応じてドライバーさんが臨機応変に休憩場所や時間を管理していることが多いと思います。

なので、ドライバーさんには一日の仕事の中で、休憩を「どこで・どのくらい」取れたかを正確に日報やタコグラフに記入してもらってください。

「どこで」は市町村名や区などを記入し、「どのくらい」は5分でも休憩できた場合は記録してもらいましょう。

運行管理者は終了の点呼時に45分・1時間の休憩が取れたか?日報やタコグラフで確認が必要です。

もし、この暑い中まったく休憩が取れなかった運行であれば、そもそも運行計画に無理があるのではないでしょうか?

荷主さんの担当者と日報やタコグラフを一緒に確認しながら、せめて法定された休憩時間を確保できるように改善策を話し合う必要があると思います。

そして悩ましいのが荷待ち・卸待ちなどにかかる待機時間と休憩時間の区別です。

いつ積み込めるか?おろせるか?わからずに、永遠とその時が来るのを待たなければならない大型倉庫も存在するようです。

この状態では当然に休憩にはあたりません。

もし倉庫担当者から「〇〇時ならおろせるよ~」とか「ラインに積める時間を送るね~」などの配慮があったらいかがでしょうか?

こんな荷主さんであれば、ドライバーさんは倉庫内の駐車スペースにトラックをとめて、近くのコンビニでゆっくり休憩できるのではないでしょうか?

暑い車内で、何時間もボ~っと順番が来るのを待つのはつらいものです。

2024年問題を考えるうえでは、この休憩時間をきちんと確保し記録することがとても重要だと考えます。

待機時間ばかりが一日に何時間も発生してしまって、休憩時間が確保できないと、肝心な運行時間も確保できなくなり会社の売り上げも減るばかりです。

待機料金をいただけるケースはまれだと思いますが、せめて「ウチは30分以内の待機はサービスします。でもそれ以降は料金が発生します!」というような待機時間の上限を決める必要があるのではないでしょうか?

ドライバーさんの労働時間は無限ではないのです。

昭和のころのように運転しながら昼ご飯!なんてことが起きないように、2024年に向けてしっかりと休憩時間の管理をしていきましょう。

以上のようにドライバーさんの時間管理は運送会社のコンプライアンス面でとても重要です。

デジタコのある運送会社さんはまだまだ少なく、正確な記録を残す社内体制を2024年4月に向けて、早期に構築されることを強くお勧めいたします。

安心・安全・高収益な運送事業実現のために!

来月は「ドライバーさんに関する時間についてPART4 休息期間について」です。

お楽しみに。

2023年7月31日

« »